今や私たちにとって身近なツールとなった携帯電話とパソコン。その本来の利用目的は電話やメール、インターネット。しかし最近はカメラ機能やワンセグ、充実したケータイ用サイトに、ブログやSNSの登場…。これらもまた、今までとはちょっと違った携帯電話とパソコンの新しい姿。どんどん進化するこれらの機能の行く先とは?
▲土橋ゼミのみなさん土橋ゼミでは、ウェブやモバイルというデジタルメディアを使って、「こんなことできたら面白いんじゃないの?」「こんな機能があったら便利!」と思ったことを実際に作り、運用・改善していきます。そうすることによって、デジタルメディアの新しい使い方やコミュニケーションの形を探っていくのです。当たり前の使い方に縛られることなく、制限のない自由な発想を―土橋ゼミ生はどんなものを作り、そこから何を学んでいくのでしょうか。そして、このような研究を社会学部でやる理由とは?

パソコンや携帯電話といった、いわゆる「デジタルメディア」が一般に普及してからいまだ十数年程度。新聞やテレビなどと比べると、新しいメディアと言えます。みなさんはこれらを何のために使っていますか? パソコンだったらインターネットに接続して調べ物を、携帯電話だったら電話やメールを―こうした使い方は私たちの生活のなかにすっかり定着しました。
しかし、少し視点を変えれば別の使い方もありうるのではないでしょうか? 例えば携帯電話、むしろ「ケータイ」と呼ばれるものは、カメラで撮った写真や動画を写真集やポストカード、映像作品へとアウトプットすれば、表現のためのメディアになります。そうなると、もはやケータイ=単なる通信のためのもの、とは言いがたいでしょう。実際、最近では、ケータイのみで撮られた映画のフィルム・フェスティバルなどもあるくらいです。

例えば、すでに私たちには馴染み深い、テレビというメディアを考えてみましょう。よく指摘されるように、テレビは技術的には電波で映像と音声の送受信をする仕組みであり、それは必ずしもテレビ局が番組を作って放送するためのものとして使われなくてもいいはず。しかし、様々な社会的文脈の中で、その意味づけが定着しました。
テレビのように、メディアの意味や役割はだんだん固定化していきます。でもそれは逆に、固定化されるまでは何度も実験を繰り返し、新たな使い方を見出せる可能性があるということ。そしてウェブやモバイルは、今まさにそういう時にあると土橋先生は言います。
「デジタルメディアはまだまだ『可塑性』(力を加えると変化する性質)が高い。であるならユーザーである私たちが、何かを仕掛けて面白くしていくべき。新しいものはユーザーからのアプローチで形が変わります。ウェブやモバイルのメディアのイメージが固定化する前に、新たな使い方を探ってほしいです」
テレビに比べるとまだ歴史が浅く、本当の意味を確立していないと言えるウェブやモバイル。これらの10年、20年後の姿は私たちにかかっているといっても過言ではありません。そんな時代に「デジタルメディアを使ってどんな新しいものを作れるか」という問いに目を向け、試行錯誤を繰り返しながら実際に手を動かし、新しいフィールドに足を踏み入れ続けるのが土橋ゼミなのです。

新たな形へ変わりつつあるウェブとモバイル。それらと同時進行するかのように、土橋ゼミではそれぞれがプロジェクトを立てて研究を進めていきます。では新しいコミュニケーションの形を探るために、ゼミ生はどのようなプロジェクトを行っているのでしょうか。
▲岡田拓也君(メディア社会学科 2年)岡田拓也君(メディア社会学科 2年)は、日常生活や旅行などで撮った写真をパソコンに取り込む際、従来のようにフォルダに入れていくようなフォトアルバムの形ではなく、ちょっと違った見せ方をウェブ上で実現させることに挑戦中。そこで彼が注目したのがネットワーク図です。
「ネットワーク図って、パッと見ただけで全体が把握できるし、さらにそれが動いたりしたら楽しいじゃないですか。だから思い出の写真もこんな風に可視的に表示できたらきれいな形で残せるんじゃないかなって。それでオープンソースで公開されているツールとブログを組み合わせて、ケータイから投稿した画像を自動的にネットワーク状に表示できるようにしました」